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広島大学文化サークル連合の公式オンラインジャーナルです。

日本シナリオ作家協会主催『「ガキ帝国悪たれ戦争」上映許可を求める署名活動』への賛同書

 日本シナリオ作家協会主催『「ガキ帝国悪たれ戦争」上映許可を求める署名活動』への賛同書

広島大学映画研究会

 日本シナリオ作家協会会員の皆様、2018年1月からの連続特集上映会「脚本で見る日本映画史~名作からカルトまで~」の開催、大変お疲れ様です。
 私たち広島大学映画研究会は広島大学を拠点に、映画の鑑賞や評論を通して文化や社会を考察することを目的に結成され活動しているサークル団体です。
 今回貴会が、井筒和幸監督作品「ガキ帝国 悪たれ戦争」(以下本作品と略します)のフィルム貸し出し不許可や上映拒否の圧力に対し、本作品の上映許可を求め闘われていると聞きました。そこで一大学の映画研究会からではありますが、映画の自由な上映を求め映画文化の保護に努めることに苦闘されている皆様に敬意を表し、上映許可を求める署名と共に賛同のメッセージを送らせていただきます。

 まず今回本作品の上映不許可が、一企業の意向によるものであることに強い驚きを感じます。
 映画の製作には監督や脚本家など多くの関係者の皆様の思想や文化背景などが含まれているのは当たり前であると我々は認識しております。第二次世界大戦時、芸術作品に対してとられた検閲行為により、映画という芸術行為が衰退を余儀なくされたことへの反省を生かし、日本国憲法19条には思想の自由が保障されています。ですから当然、貴会に本作品を上映する権利が保障されるべきだと考えています。
 しかし今回、東映株式会社と株式会社モスフードサービスが貴会に対してとった対応は思想の自由とは逆行するものであり到底許されるものではないと考えます。

 実は広島大学映画研究会(以下当会と略します)にも上映不許可と闘った歴史があります。約40年前の広島大学大学祭にて、当会が若松孝二監督作品の「処女ゲバゲバ」を上映しようとしていたのですが当時の大学当局が検閲をかけ上映を認めないということがありました。しかし当会は上映許可を求めて大学当局と争い結果上映許可を勝ち取りました。当会は「上映が不許可になる作品であるかどうかは、観客の手にゆだねられるものであって権力者が力をもって決めるものではない」という思想をもって上映をやりぬきました。

 また、当会も現在活動の危機にさらされています。広島大学では1995年に「学生生活に関する規則」が決定され、サークル勧誘の規制などが行われようとしましたが、制定における状況が不明であるなどの疑念が多く存在したためそれに対してサークル側が一丸となって規則を無視することを宣言し、その運用を阻止してきた歴史がありました。そのため、広島大学では公式にサークル結成については完全な届け出制であり、基本的に制限はありません。
 しかし、私たちや文サ連がその規則を守らない立場を堅持していることが理由で、今年度はサークル援助が受けられず、部屋の貸し出しや印刷機の利用などに規制が行われています。また大学祭では当会で上映している作品がどのようなものであるかという所謂「見回り」も行われ、いつ当会主催の映画シンポジウムなどへの検閲が行われるか不安で仕方ありません。

 そのような中で映画上映の自由を求め闘われている皆様に当会として強いシンパシーを感じます。一方的な上映拒否に反対し、自由な上映活動を守ろうとされている貴会の皆様に心から連帯したい思いです。日々の活動で培っておられる主体性を、映画の自由な上映を守る力に変えましょう。私たちもサークルとして映画の評論活動の自由を守るために頑張っていきます。共に映画という芸術を守る立場で頑張りましょう!

2018年3月20日