こんにちは。文化サークル連合です。
6月中旬、突如広島大学のサークルの団体更新・結成の要件として「顧問をつけること」が要請されました。
顧問必須化に反対の運動をつくろう! - Re:Public on Web
この事態がサークルにとって極めて重大であることをかんがみ、6月21日に課外活動担当窓口に申し入れに行ってきました。
また、サークルの活動ということに関してもうひとつ重要になってくるだろうもうひとつの論点、課外活動をする際にはワクチンを接種していることが条件になるのかどうか、ということに関してもついでに質問してきました。
当日の質問内容
①どういう経緯で顧問を必須化したのか。その理由は何か。
②ワクチンを接種していないと活動できないということにならないか
その場での追加質問:ホームページから広島大学のサークルは許可制ではなく届け出制だということが記載された文章が2020年に削除されたが、あれはどういうことか
①どういう経緯で顧問を必須化したのか。その理由は何か。
結論から言うと、担当職員も顧問必須化の経緯がよく分かっていない模様でした。先の課外活動担当から引き継いだ内容の中に、団体届に関して「顧問が必要」だという記述があったとのことです。また、コロナ感染対策委員会の決定ではないかとも言われていたが、これは定かではありません。
しかし、昨年度感染対策委員会によって顧問が必須化されたのは「対面での課外活動再開の条件」としてであって、「団体の結成・更新」としてではありませんでした。対面ではできないが(しょうがなく)オンラインでやっているというサークルもいる以上、この二つを混同されてしまうことはサークルにとって存続すらもかかった重要な問題です。それに、サークルにとってこれほどまでに重要な内容が決定過程さえ不明確なまま下ってくること自体そもそも問題であるといえます。
全体的に、課外活動担当窓口の地位全体が低下しているという印象で、おそらく大学的な政策決定にも全然関われていないか、決定されたことを実行するというだけの状態になっているのではないかという印象を受けました。
②ワクチンを接種していないと活動できないということにならないか
「それはない」と食い気味に、かなりはっきりと言っていました。そのため、今のところそうした心配はないと思われます。ですが、深く立ち入って話を聞いていくと「政治的な決定があればそのときはわからない」「大学個別としてやる範囲ではそういうこと(接種が必要)はない」とのことでしたので、大学がすべて独自に判断できるというわけではなく、あくまで大きな政治の文脈に依存して変わりうる状態であることがわかりました。引き続きこの問題については注視していき、たとえ政治レベルで接種が必要だという話が降りてきたとしても、それに反対していくことが重要だと言えます。
追加質問
・ホームページから広島大学のサークルは許可制ではなく届け出制だということが記載された文章が2020年に削除されたが、あれはどういうことか
広島大学のサークルはもともと、サークル活動にあたっては代表と副代表(2名)の氏名や連絡先を記載した団体届を提出すればよいという「届出制」でした。サークル活動をするにあたって、名簿や誓約書の提出が求められ、さらにそれがなければ「受け取れない(団体として承認しない)」という姿勢をとりはじめたのは2017年からのことです。
(詳しくは、顧問必須化に反対の運動をつくろう! - Re:Public on Web
の、「2017年から続いてきたサークル自治破壊」の章)
その上、2020年度には、サークル関連の情報が記載されたホームページから「届出制」であることが明記された文書が何も言わずに消えました。そのため、広島大学のサークルは本格的に許可制に切り替わるのではないか、それも、なし崩し的にそうなってしまうのではないか、という懸念を自分たちはこの間ずっと抱いてきました。
しかし一方で、コロナ禍を通してこそ、サークルが学生にとっての重要な人間関係の場であると改めて実感されてきています。こうしたサークルを幅広く支援していくのではなく、逆に潰すことに寄与するような厳しい制限をかけることは問題です。
文化サークル連合は以上の考えにもとづき、今回の質問中、職員が「広島大学は届出制」だということを言った際に職員と私たちでの認識に齟齬があると感じ、以上のことを質問しました。
これについても職員側はよくわかっていなかったようで、「ホームページがリニューアルされた時に一緒に消えてしまったということか?」というこちらからの確認に「そうかもしれない」と曖昧な回答。また、詳しくは「確認しておく」「再掲しておく」とのことでした。
大学主導の「許可制」型の感染対策・サークル運営から、学生主導の「サークル自治」に転換しよう
しかし、顧問の件もそうですが、届出制を明記した文章についても、理由もプロセスもはっきりしないまま「決まったことだから」としれっと義務だけ課されること、なし崩し的にサークルに制限がかけられていくことには大いに問題があります。
もちろん、個人や個々のサークルレベルで当局と交渉し、こうした制限を撤回・突破していくことは困難に見えます。しかし、だからこそ多くの学生や団体が連帯して、学生の利益、立場を率直にうったえ、大学に働きかけていくことが必要です。
コロナ禍を通して、大学は学生生活を守るどころかそれを一方的に禁圧し、それなのに大学の営利目的の事業はすすめてきたという事実があります。サークル側、学生側は基本的に感染対策のために活動制限を受け入れてきたのに、大学がそれに報いることはありませんでした。
今、世間一般的にも、飲食店は度重なる緊急事態宣言とその度の休業や酒を売らないなどの感染防止策を努力してきたにもかかわらず、国や自治体は誠実な説明も手厚い補償もしていないという問題が起きています。この間の大学とサークルの関係はそれと全く同じ構図の問題です。
自分たちサークルにかかわる学生は、決して無責任に活動がしたいというのではありません。
無責任なのは、感染対策が日常生活を切り詰めてまでやらなくても良いようにするための物質的・精神的支援を何ら行わない一方で、営利目的の事業は犠牲を払ってでもやろうとしている国や自治体のほうだし、大学当局のほうではありませんか。
私たちには、コロナ禍の中でも責任をもって、これまで当たり前に共有してきた生活を犠牲にしながらも対策をとってきた経緯があります。こうした実績でもって、大学は自分勝手で横暴な運営をやめ、責任ある学生の広範な自治的サークル運営を認めるべきだとうったえていきましょう。それだけの説得力が学生にはあります。
すでに広島大学では活動がままならないサークルが多く出現していますが、大学に学内問題のすべてを任せておいたら、今後もサークルは弱体化・減少する一方です。これからも、さまざまなかたちでサークルは大学の運営方針に大きく左右されることになってしまう可能性が高いです。
団体届という、サークル側からすれば存続がかかっているとまで認識されているものについても曖昧な手続きですすめようとしてくる大学の態度は、もはやサークルや学生の感覚や利害とは相入れません。そのことが今回はっきりしたと思います。
多くの学生、団体がコロナ禍での大学に不満を感じていることと思います。これからはそれを単なる不満や無力感に終わらせることなく、同じく不満を感じている個人や団体と結びつきながら全体を変えていく可能性があるような、一つの大きな運動にしていきましょう。