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広島大学文化サークル連合の公式オンラインジャーナルです。

匿名加工情報の提供=サークル員名簿の売り渡しを許さない!

 広島大学は、学生や教職員等の個人情報を、一定の加工をして外部に提供する「匿名加工情報」の提供を学生や教職員になんの事前の確認もなく実行しました。

www.hiroshima-u.ac.jp

責任者も知らないのに外部に提供?

 この中には、課外活動団体の登録情報を記載した「学生団体結成・更新届」も提供されることになっていました。この中にはサークル員名簿の個人情報も入っています。さらに言えば、この「学生団体結成・更新届」にはもともとは「ご記入いただいた情報は,課外活動支援,施設管理業務および広報業務のために利用され,その他の目的には利用されません」とありました。こうした約束をも反故にしたのです。しかし、学生の個人情報管理の責任者となっている小畑・学生生活支援グループ(学活G)リーダーさえ、この匿名加工情報の提供について知っていませんでした。大学の信頼が根本的に問われる事態です。
 文サ連としては、一方的に義務化されたサークル員名簿の提出強要に継続して抗議してきた最中の出来事であり、このサークル員名簿の義務化自体についても十分な説明もないのに、個人の特定ができないように加工すると言っても、課外活動団体になんの確認もなく、外部に勝手に提供するなどということが許せるわけがありません。しかも、この情報の外部提供には、手数料という形で大学が収益をあげるようになっています。

個人情報の全面的な提供へと行き着く

 今回は「匿名加工情報」として個人が特定できないように情報を加工してから外部に提供するのだと大学側は説明しています。
 しかし、どの情報がどのように加工されるのかは、まだ誰も把握していません。また、この加工を行う担当者などは、直の個人情報を目の当たりにするわけですが、どこがこうした個人情報の加工をするかも公示されていません。全くのブラックボックスで、勝手に個人情報がやりとりされるということです。
 こんなことを容認してしまえば、表面的には「情報を加工して個人を特定できないようにしていますよ」と言っていても、裏で直の個人情報がやり取りされてもわからないことになります。「加工して提供するから大丈夫」など、全く信用することはできません。学生の個人情報管理の直接の責任者である小畑学活Gリーダーさえ、この匿名加工情報の提供について知らなかったことは、大学が信頼できない組織であることをよく示す事態です。

戦争動員ー自衛官募集や治安弾圧に使われる恐れ

 こうした個人情報の外部への提供は、ビッグデータ活用などの情報ビジネスへと利用されるのみならず、自衛官の募集や、学生活動への治安弾圧を招くものになりかねません。安保三文書改定をはじめとして、岸田政権は戦争に向けて全社会を動員する体制を構築しようとしているなかで、こうした戦時的対応は絵空事ではなくなっています。

 というのも昨今、全国の自治体で自衛官の募集のために、本人が明確に拒否する意思表示をしない限り、勝手に各自治体の高校生などの個人情報を自衛隊に提供してもよいとする運用がなされはじめているからです。

 治安弾圧という点でも、かつて広島大学でも学生運動の監視のために課外活動団体に所属する学生がスパイとして公安警察に買収されていたということもありました(本人が良心の呵責に耐えかねて告発)。こうしたスパイなしでも情報を手に入れられるようになりうるということです。

 また、ミサイル避難訓練へ運動部を動員するといった形で、すでに課外活動の戦時的動員もはじまっています。課外活動の持っているつながりが、大学や国の都合で利用されるようになりはじめているのです。

www3.nhk.or.jp

名簿提出強要ごと跳ね返そう

 課外活動に関して言えば、そもそも、こうした外部への匿名加工情報の提供というのは、「学生団体結成・更新届」に本来は提出必須でなかった名簿の提出が義務化されたことから可能になったことです。

 今年5月に今年度の課外活動団体の更新がありますが、これからの団体結成・更新は、こうした外部への情報の売り渡しがなされることへも同意したとみなされるのです。誰かれ構わず仲間の情報を売れと言われているようなものです。このようなことに同意することは決してできません。

 これまで私たち文サ連は、サークル員名簿の提出強制そのものに反対し、それによって受けている不合理・理不尽もいずれ跳ね返すという決意で引き受けて今日まで闘ってきています。どのような都合があろうとも、決して仲間を売ったりしないというのが、ともに課外活動を担う仲間への正しい態度ではないでしょうか。

 誰も知らないまま、勝手に提供されようとしている「匿名加工情報」。この一点だけとっても、一切容認できないものです。ぜひともに声を上げ、そもそもの発端であるサークル員名簿の提出強要ごと、この「匿名加工情報」の外部への提供を停止させていきましょう!