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広島大学文化サークル連合の公式オンラインジャーナルです。

サークル棟入館規制の撤回を求める副学長交渉へ集まろう!

 6月に文化系サークル棟(「課外活動共用施設(文化系)」が正式。以下、サークル棟)の入館が突如として制限されました。

 2021年秋頃から電子ロックに学生証をかざせばサークル棟に入館することができていましたが、団体更新・結成の際に名簿情報を提出した学生のみが入れるように変更されたのです。この入館制限について、学生生活支援グループ(以下、学活G)にたいして幾度の申し入れをおこなってきましたが、話を進めるものにはなりませんでした。より責任のある立場としての課外活動担当副学長にたいして今月、申し入れをおこないたいと思います。入館制限撤回のために、学生のみなさん、ぜひお集まりください!

 

本質は全面的な規制強化

 6月20日、学生になんの告知や相談もなく、突如として入館制限が始まりました。そもそも2020年以降コロナ禍をうけてサークル棟は長らく施錠されていましたが、21年2月に電子ロックが設置(418万円!)され、その年の秋以降に入退館システムが運用され始めました。この入退館システムが名簿に載っている学生のみ入館できるものに変更されたのです。

 入館規制の問題は、更新届を提出しなかった・できなかった団体、提出しても受け取りを拒否された団体などが、ボックスを持っていても入れないようになったこと。またサークル棟に引き続き入れるサークルでも、新入部員や途中加入の学生の入館が制限されたり、友人との交歓や見学・新歓など、様々な面で不利益をえるものであるということです。広島大学に通う学生のなかで、圧倒的多数の学生が締め出されるという事態です。これにたいして文化サークル連合は6月、7月、8月と規制の撤廃を求めてきました。

 

 この入館制限は全学生にかかわる問題としてあります。ここ数年の課外活動をめぐる大学政策も含めて、単純に今回の規制は「入管制限」のみにとどまる問題として取り扱うことはできません。入館制限の理由として大学側は一貫して「盗難対策」だということを主張していますが、のちに見るような経緯からしても、この入館制限を放置していれば、課外活動・全学生の活動をより抑圧し、制限していくものになることは必至です。

 現に大学側は、電子ロックが設置された2021年2月から「いずれは体育会系にも設置する」というふうに言っています。全広大生の問題として声を上げていきましょう。学生を無視して進められている規制強化を止めるため、自由な学生生活を取り戻すために副学長交渉へ上り詰めましょう!

 

「盗難対策」は建前だ

 大学側は入館規制について「盗難対策」のため、として理由を説明しています。しかし複数回の申し入れを経るなかで、大学側の説明は別の理由――規制強化を狙うもの――を覆い隠すための建前であると言わざるをえません。

 学活Gは2020年に起きた盗難事件をもとに「盗難対策」として入館制限をおこなったと説明していますが、2年前の事件を多くの学生は(わたしたちも申し入れをするまでは)知りませんでした。盗難事件を周知し、課外活動団体への注意喚起をおこなうなど、盗難を「対策」するために必要なことを学活Gはやってきませんでした。注意喚起もせず、ほかにも窓ガラスの強化や鍵付きロッカーの設置など、大金を投じて電子ロックを設置する前にできたことがあるのではないでしょうか。一足飛びに入館制限に踏み切ったことには「盗難対策」以上の理由があると考えるのが自然です。

 

「盗難対策」のための議論ができない状況

 わたしたちは課外活動団体として、盗難事件をいかに防ぐか考えていく必要があります。そのためにも盗難事件をうけて、どのような方策がとれるのかを含めて大学と話をしたうえで、入退館システムの是非を問うべきだと思います。盗難をいかに防ぐかという議論からではなく、「盗難対策」とだけ説明した規制ありきの議論がなされることは、実際に盗難を防ぐものにはなりません。

 それどころか、盗難事件について申し入れ行動をおこなって初めて聞き出せたような状況は問題です。多くの学生は盗難事件について知らないまま、周知・注意喚起されないまま、盗難対策の議論もないまま、サークル棟から締め出されているのです。

 学活Gは7月21日の申し入れ行動までに具体的な資料を持ってくることを約束しましたが、当日資料は提示されませんでした。盗難事件について把握していることは「侵入経路はよくわからないけど中に入ったらしい」という程度です。侵入はドアからなのか窓からなのか、そのとき施錠されていたのかいなかったのか、また警備員立ち合いでサークル棟に入ったのかこっそりと侵入したのか、などは一切不明だというのです。こんな把握でなにが「盗難対策」だというのでしょうか!

 

盗難事件は大学の責任

 そもそもこの盗難事件は学生の問題ではなく大学側の責任問題です。2020年から1年半の間、学生はなんの注意喚起も受けていないなかで、サークル棟には入れず、どんどんと(のちに見る規制強化のなかで)課外活動団体自身の活力が奪われてきました。そんな期間におきた盗難事件であり、施錠を続けていたのは大学の判断(2020年の申し入れでもサークル棟の開放を拒否)です。責任は大学側・学活Gにあります。

 盗難も締め出しも、学生に不利益があることです。しかし当該である学生にまったく意思確認がなされていないなかで入館制限は敢行されました。まずは学生、課外活動団体がどうやって盗難を防止するのか考えていくことが肝要です。しかしそれどころか、大学の落ち度での盗難事件を以て「盗難対策」を言いなし、入館制限で学生に不利益を押し付けているという有様です。大学側は盗難事件をうみだしたことについて、まずは謝罪するべきであり、「盗難対策」にもならない規制は撤回あるのみです。

 

課外活動への規制強化が盗難事件を引き起こした

 この間の申し入れ行動にたいして大学側は「盗難対策」だとの一点張りという状態です。根拠となった盗難事件として挙げていたのは、多額の被害があったとされる2020年秋、その後の申し入れのなかで同年冬2021年夏など、いずれもサークル棟が常時施錠されていた時期のものです。この期間は基本的に学生は入れず、「学外からの犯行」だと学活Gも説明しています。

 施錠されている期間に盗難があったという事実は、現状の入館制限(学内に入れる学生と入れない学生を分ける)がなんら有効なものではないことを示すばかりか、むしろ学生の活発な課外活動と施設利用が盗難を防いでいたことをも示すものです。鍵が開いていてもたくさんの学生が利用する施設より、鍵がかかっていても人っ子一人いない施設のほうが物を盗みやすい、ということです。2020年3月から続いていたサークル棟の常時施錠で、多くの課外活動団体が貴重品や備品などをサークル棟から持ち出せないまま締め出され続けた状況も、多額の盗難被害につながっていることと考えられます。

 

(↓昨年新歓期におこなったアンケート。文化系を中心に多数のサークルがなくなるなかで電子ロックが設置されたことに、学生は誰も納得していません。教室利用の制限や掲示板・タテカン置き場の撤去にも反対の声が集まりました)

hirodai-bunsa.hatenablog.com

 

 こうした過剰な「盗難対策」は学生生活・課外活動をさらに衰弱させていくものです。コロナ禍以降、多くのサークル・部活が消滅してきました。これらは単にコロナで大変だったからというだけでなく、実際にキャンパスに入構できず、サークル棟を利用できず、課外活動の再開条件(2020夏~)にそれまで不要だった顧問の必須化など厳しい条件が課され、教室利用も大幅に制限、大学の判断で一方的に活動制限が敢行され、2021年に入ると団体更新・結成自体に顧問が必須化され、……と大学が行ってきた政策にかなり追い詰められてきたからです。とりわけ顧問の必須化は、多くの課外活動団体の更新・結成を不可能にし、もみじ掲載の課外活動団体紹介ページからは多くの団体が姿を消してしまう羽目になりました。

(過去の記事: 顧問必須化に反対の運動をつくろう! - Re:Public on Web  に経緯が載っています。感染対策にもつながらない、規制強化のための顧問必須化が強行されました)

 この2年間を通して、わたしたちのみならず多くの学生が規制にたいして声をあげてきましたが、大学側は課外活動団体の切実な要求を無視し続けてきました。それどころか毎回のように課外活動団体への規制を強め、サークル・部活の崩壊を促進してきたのです。今日の入館制限はその極致、ほとんどの学生をサークル棟から締め出すものであり、こんな制限が課外活動を促進することは万に一つもあり得ず、課外活動を厳しい状況に追い込んでいくことは火を見るよりも明らかです。

 

核心は学生の管理

 入館制限は単純に、入部前に見学がしづらい、新入部員があるたびに名簿提出しないといけない、など面倒臭い点もありますが、大学側がこうした杜撰な入館制限に踏み切るに至ったまでの核心的な利害とはいったい何なのでしょうか。「盗難対策」という建前に隠された意図は何でしょうか。今回の規制で使われている入退館システムは、学活Gが各課外活動団体から集めた名簿情報を流用して使われています。入館制限の本質は「盗難対策」などではなく「名簿を提出しない・できない(あるいは大学が受け取らない)団体を排除する」ということ、とりわけ大学にとって不都合な団体を排除することにあります。

 名簿の提出が団体更新・結成時に必須とされたのは実は5年前からです。学生への管理強化、とりわけ文化サークル連合の排除をねらって名簿提出が強要されました。学生の利害を守る立場で大学当局に物申す団体を広島大学から一掃する攻撃として名簿は必須化されました。

 大学側は「(名簿問題の)議論が決着するまでは不利益扱いはしない」という約束をしましたが、話し合いを放棄し、文化サークル連合に加盟する各サークルを「無届団体」として扱ってきました。そしてこの名簿提出必須化を起点に、毎年のように得手勝手に団体更新・結成手続きを変更し、課外活動全体にたいする規制・管理を強めてきたのです。

 こうした取り扱いの一方的な変更は広島弁護士会から2019年に「結社の自由を侵害する行為というべき」人権侵害であると認定され、「今後の学生団体の結成及び更新手続きにおいて……根拠のない運用を行わないよう要望する」「今後、提出された団体構成員名簿は……学生団体更新届記載の所属学部別の構成員数の裏付け資料及びサークル内で事件・事故等が発生した際の学生の連絡先としてのみ使用し、これら以外の目的で使用しないよう要望する」として、名簿情報をつかったさらなる規制強化を戒めるものとなっています。

 広島大学・学活Gは、文化サークル連合所属サークルにたいして一切の謝罪もおこなっていないどころか、この人権侵害認定を踏み破り、団体更新・結成手続きや名簿の運用に変更を加え続けているのです。

 

5年間かけて課外活動を追い込んできた

 この名簿が入館制限に使われているということで、改めて管理強化のためのものだとハッキリしました。名簿問題のように最初は「緊急時対応のため」などの建前がとられ、あるいは「不利益をこうむるのは(文サなど大学に不都合な)一部の人だけ」だと宣伝されてきた問題が、全学生にたいして建前以上の管理強化を狙って行われるものなのです。名簿問題を起点とする種々の規制強化(顧問必須化など団体更新・結成手続きの変更、教室利用の制限など)がコロナ禍でのサークルの大量消滅につながってきました。それは規制強化・管理強化に反対するわたしたちのような「大学にとって都合の悪い団体」を、人権侵害をしてまで排除・無視してきたなかで進められてきたのです。入館制限がさらに課外活動全体、学生全体にダメージを与えるものとなることは必至です。

 そしてこの入館制限そのものも、大学側は「盗難対策」だということを、3か月かけて幾度も申し入れするなかで一貫して強弁していますが、どんなに「盗難対策」としての入館制限が不備あるものであり、課外活動団体への不利益があるものかを説明しても、絶対に譲らず撤回を拒んでいます。管理強化・規制強化は絶対に撤回したくない、ということが「盗難対策」という建前の裏にある本音です。ともに管理強化反対の声をあげましょう!

 

背景に大学改革

 この間広島大学では課外活動への連続的な規制強化が強行されてきたほか、ターム制(4学期制)の多くの反対票を無視しての導入、学生・教職員不在ななかでの法学部の移転の決定、多額の資金を使ってのアリゾナ州立大学誘致など、学生生活に多大な影響を及ぼす決定が学生・教職員に周知されることなく進められています。これらは別々の問題に見えて、根本は大学改革の問題です。

 2004年の国立大学法人化以降、大学に入ってくる運営費交付金が年々減っていき、学長のトップダウンでの決定機構が強化されてきました。大学にお金がないというなかで学生生活への支援はどんどんと断ち切られ、一方で文部科学省の気に入るような政策を推し進めてきました。教職員の非正規雇用や雇止めの問題や業務の合理化は、学生への支援を困難にしています。こうした大学改革が導いたのが現在の「カネになる」限りで許される課外活動・学生生活・研究活動という現実です。

 

(昨年夏におこなった学習会の資料: 8.16学習会資料(外部公開).pdf - Google ドライブ  スポーツセンターが主導となって、体育会の部活に所属している学生を芝生ビジネスに巻き込んでいく計画が立てられています。学生を「都合のいい」存在にしてカネ儲けに動員していく、これが大学改革がめざす「儲かる大学」の姿です)

 

 大学の主人公は学生です。管理強化・規制強化をはねかえし、学生生活を学生の手に取り戻す力は、わたしたち学生のなかにあります。

 

副学長交渉へ!

 8月1日の申し入れにたいして学活Gは学生への意思確認もおこなわないことを、「上」の決定だとして言ってきました。学活Gのリーダーは頑なに「上」の具体的な名前を挙げようとしませんが、そのひとりに課外活動担当の副学長がいることは認めました。明確な責任者として管理強化をすすめる張本人・岩永誠副学長を追及していきたいと思います。広島大学の学生のみなさん、入館制限の撤回をもとめる今月の副学長交渉へぜひお集まりください!